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zoom RSS とっぱつ〜幸子とコタツのはなし〜

<<   作成日時 : 2008/12/10 22:49   >>

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 はい、とっぱらのSSです。
 冬の時期に合わせてみました。

 では、スタート。



 とっぱつ〜幸子とコタツのはなし〜


 「ふう……今日も面白い展開でした」
 コタツに入ってミカンを剥き剥きしながら、昼ドラを堪能した美影。ふと窓の外を眺めると、ちらほらと雪が舞ってきている。
 「あら、寒いと思ったら、どうりで……」
 受験勉強の為に外出している圭治は、傘を持っていかなかったはず。さてどうしようと美影が考えた時、幸子が2階から降りてきた。
 「いや〜、やっぱり降ってきたね。寒い寒いっと」
 圭治のベッドで昼寝を終えた幸子が、腕をさすりながらコタツに潜り込む。
 「その格好じゃ、寒くて当然ですよ?」
 幸子の格好は出会った頃と同じ、下着一枚・パーカー一枚という軽装である。
 「神様は、季節によって服を変えたりしないのさ〜。美影だって、ずっと同じ着たきり雀さね」
 なんとも無茶苦茶な理論だが、美影だって服装を変えていないので強くは窘められない。勿論、圭治から何枚かの服を送られているのだが、それらは主に外出用として使用していた。
 「圭治さんに買ってもらったダウンジャケット、着ないんですか?」
 「アレは外出用さ。家の中であんなのを着ていたら、外に出たとき寒くて死ぬさ」
 福の神が寒さで死んだという話は寡聞にして聞いた事が無い。
 「……折角、可愛いのに」
 パーカーの代わりにダウンジャケットを纏うと、袖丈は指先が隠れるまで、裾丈は膝下までと、服に着られているような状態になる。まあ、圭治が男物を買ってきたのがいけないのだが。
 「それに、あの格好で外に出るのも嫌さ。コートの下が裸になっている変質者みたいさ」
 「……それは、幸子ちゃんが普通の服を着れば良いのでは……」

 「ただいま〜」
 「は〜い、今行きます」
 そんなくだらない事を話している間に圭治が帰ってきて、美影が出迎えに行く。
 「……ふう、これで独り占めできるさ」
 幸子はもぞもぞとコタツの中に潜り込む。所謂、コタツムリである。

 「圭治さん、濡れませんでしたか?」
 コートを脱ぐ圭治を手伝いながら尋ねる美影。
 「いや、たいした雪じゃなかったからな。……なにか暖かいものでも淹れてくれるか?」
 「はい。圭治さんは手洗いとうがいの方をお願いしますね。風邪などひかないように」
 「おう」
 圭治は手洗い場へ、美影はコートをハンガーに掛けるとキッチンへと向かう。
 
 「ふう……水が冷たいなあ」
 「あら、湯沸かし器を使えばよろしいのに」
 手に息を吹きかけながら言う圭治に、男性はこういうときに一手間掛けないんだから、と苦笑する美影。
 「もう直ぐ生姜湯ができますから、コタツに入って待っていてください」
 「了解。……あれ、幸子は?」
 圭治は居間の中を見回すが、そこに幸子の姿は無い。
 「あら? さっきまで居ましたよ?」
 美影の不思議そうな声が聞こえる。圭治は深く考えずに、座布団に座ってコタツに足を突っ込んだ。

 「んぎゃ〜!?」

 「うおっ?」
 コタツの中から叫び声が響き、圭治は慌てて足を引っ込めた。圭治とは反対側の場所から、尻を押さえた幸子が這い出してくる。
 「……なにやってんだ、幸子」
 「それはこっちの台詞さ!」
 思わず尋ねてしまう圭治に対し、幸子は涙目で睨みつけた。
 「冷たい足を人様の可憐なお尻に押し付けて! 冷たくて心臓が止まるかと思ったさ!」
 「……あ〜、なるほど」
 「なるほど、じゃない!」
 「悪かった、悪かったって」
 圭治は別に悪いとは思っていないが、思わず頭を下げてしまう。
 「もう……今のは幸子ちゃんの行儀が悪いからでしょう?」
 生姜湯を三つお盆に並べた美影が、器用に肩を竦めて見せた。


 その日以来、幸子はしっかりとショートパンツを穿くようになったそうである。



 「何でショートパンツなんだ?」
 「一見『穿いてない』ように見えるからさ。……圭治はそういうの好きだろ?」
 「……」

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
 勢いで書いてしまった。後悔していない。
 ちなみに、幸子が「嫌だ」と言っているくせにダウンジャケットを受け取っているのは、上記の通り「圭治がそういうの好きそうだから」です。

 妖怪の皆さんの服装、幸子と瀬織は絶対に冬を越せないと思うけど、冬服も想像できませんね。
A-O-TAKE
2008/12/10 22:56
 これはまた、なんともしっとりとした趣深い日常描写ですなあ。
 今回のSSでは、筆致を抑えた何気ない表現がよくマッチしていると感じましたです。『とっぱら』にはこういう書き方・作風がとても合うのでしょうね。

 ……しかし、A-O-TAKE様も幸子ちゃんですか。ふむ。


>冬服
 幸子の場合、貧相であることが「存在の証明」であるような面がありますし、パーカーはまだ分かるような気がするのですが(と言っても凍えることは間違いない格好ですけど)、瀬織はもう絶望的ですね。何しろやつは「ヒッピー」ですし。たとえ歯の根の合わぬほど震えようと、たとえ風邪の高熱にうなされようと、「反体制」の自負が(笑)彼女にあの格好を取らせ続けるにちがいない。……テントの奥でシュラフにくるまって出てこない、てことはあるかも知れませんが。(爆)

 早く春になって、桜の下で花見酒を飲むことを夢見るしかないですな。
aki
2008/12/10 23:33
 aki様、こちらでもこんばんは。

 ……うは、記事の手直しとかしている最中に、コメントが……とか思っちゃいました(笑)
 あちらの掲示板と違って、誤字脱字を簡単に修正できるのが良いですね。その代わりと言っては何ですが、校正がいい加減になってしまうようですが。


 さて、実際のところ、幸子の服装はどうなんでしょう?
 本編の始まる前から屋根裏部屋に住み着いていたわけですし、あの格好で梅雨を越したのは、それはそれで寒いような気がするのですが……もしかして、「不幸エネルギー」が充填状態だったので(笑)、寒くなかったんでしょうかね?

 瀬織は……うん、リアルに想像できますね、aki様の言う光景が。
 いや、実際は橋から離れられない訳じゃないので、占い師などをやって金を稼いでは、ネカフェか何かを宿にしているのかも……。
 う〜ん、どちらにしてもホームレス(笑)

 では、またお越し下さい。
A-O-TAKE
2008/12/10 23:54
こんばんは(´ー`)y

いやぁ〜、これは面白いですねぇ〜
しかも、足ではなく、お尻にあたったってのがまた良いですね(´ー`)y

しかし、オイラんちはもぉ〜十年以上もコタツを使っていないので、なんか懐かしい感じですよ。
オイラの場合、逆の場合が多かった記憶がありますよ(´ー`)y

ではでは
GTO君
2008/12/12 19:45
 GTO君様、こんばんは。

 気に入っていただけたようで良かったです。
 私の家も、十年以上コタツを使用しておりません。住んでいる土地柄、あまり寒くならないと言うのも理由の一つですが、家族が揃って入っている状態じゃないと、コタツって寒く感じるんですよね(笑)
 つまり、一人で入っていても面白くないと。

 うちは男ばかりの3人兄弟なので、子供の頃はコタツで足の押し付け合いとか、赤外線部分のカバー(昔は大きく凸で張り出してましたよね)に膝をぶつけたりとか……良い思い出です。

 では、またお越し下さい。
A-O-TAKE
2008/12/12 21:24
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