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zoom RSS 妃宮さんの中の人 2-EX-1

<<   作成日時 : 2010/12/23 16:43   >>

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 淡雪さんの一目惚れ?

 ゲームの中では、ツインテールやストレートの他に、ポニーテールにもしている淡雪。
 多分、のり太先生のお気に入り。

**********

 冷泉淡雪は聖應女学院に通う二年生である。
 将来の目標は華道の家元になること。しかし、それは一足飛びに叶うような夢ではないことは、淡雪にも良く分かっている。
 取りあえずの目標は、同門の幼馴染である華道部部長――雅楽乃に認めてもらえるくらいの腕前になること。
 ……志が高いのか低いのかイマイチよく分からないことであるが、ともあれ、雅楽乃は淡雪の目標だ。
 だからここ最近、雅楽乃がとある上級生に執心しているのを見ると、つい苛立ってしまったりもするのである。



 決戦前日のエトセトラ 1



 淡雪は帰りのホームルームが終わって教室から出ると、素早く左右を見て目的の人物を見つけた。

「御前、待たせちゃった?」
「大丈夫ですよ、雪ちゃん」


 廊下の端で佇んでいた雅楽乃は、淡雪の呼びかけに笑顔で応える。
 同級生・下級生から厚い信頼を寄せられている雅楽乃は、自然とみんなの相談役のような立場になった。
 その為、という訳ではないが。雅楽乃は友人としての淡雪を頼りにしていた。
 気の抜ける同学年の人間は淡雪だけであり、上級生を含めたとしても、真の意味で対等といえる友人が少なかったからだ。
 華道部が休みの日でもこうして行動を共にするのは、淡雪との時間を大切にしている証左であろう。

「御前は、今日は真っ直ぐ帰るの?」
「いえ、今日は久し振りに園芸部へ顔を出す心算です。雪ちゃんは?」
「ん〜……読んでた本は昼間で終わったし、今日は帰るかな」
「あら、あの英語の本、もう終わってしまったのですか」
「うん。まあ、あれは結構簡単な本だったし」


 華道部は茶道部と共同で修身室を利用している為、活動日は週の半分である。
 何も予定が無ければ連れ立ってそのまま帰るが、今日のように雅楽乃が園芸部へと顔を出す日には、淡雪は図書室で読書をするのが常であった。
 もっとも、結構な読書家でもある淡雪を満足させられる本は、聖應の図書室でも数少ないのではあるが。

「では、途中まで一緒に行きましょうか」
「うん」


 雅楽乃は淡雪を促して歩き出し、昇降口へと向かう。
 会話の無い状態でも苦にはならない間柄ではあるが、淡雪は、ふと気になったことを尋ねてみた。

「ところでさ、御前は誰に投票をするか、もう決めたの?」
「投票……ああ、エルダー選挙ですか」
「……もしかして、忘れてた、なんてことは無いよね?」
「まあ、雪ちゃん。私はそんなに抜けて見えますか?」
「いや〜、御前は天然だから……いやいや、そうじゃなくて。ほら、華道部では、その話は出ないからさ」
「そういえば……そうでしたね」


 華道部でエルダー選挙の話が出ないのは、華道部が雅楽乃のファンクラブと同じ状態だからである。
 華道部は雅楽乃と淡雪が一年の時に入部することで、廃部寸前の状態から持ち直したのだ。何しろ、指導する教員も居なかったのだから。

「で、どうなの?」
「そうですね……私はやはり、初音お姉さまでしょうか」
「えっ?」


 雅楽乃が上げた名前に驚いた淡雪は、思わず足を止めてしまう。
 一歩、二歩と歩いた雅楽乃はそれに気が付くと足を止め、後を振り返った。

「……? 雪ちゃん、そんなに意外でしたか?」
「いや、あの、なんて云うかさ……ほら、最近は千歳お姉さまに御執心だったから」


 首を傾げている雅楽乃に追い着いた淡雪は言葉を濁すが、意味が無いと思い直して素直に聞いた。

「ああ、なるほど。そういうことですか。……そうですね、何と説明すればいいのか」

 歩を再開しながらも首を捻っている雅楽乃は、例えば、と一声置いてから。

「エルダーシスターは、その人を尊敬できるかどうかが選出の理由となるものでしょう? 千歳お姉さまを尊敬していないということではなく、より尊敬しているのが初音お姉さまだということですね」
「ふ〜ん。……分かったような、分からないような」
「ふふっ……ねえ、雪ちゃん。私と千歳お姉さまは、出会ってから三ヶ月にもならないのです。人となりを知るには、十分な時間ではありません。初音お姉さまとは、去年から付き合っていますからね」
「あ〜、それは確かにそうかもね」


 人同士の付き合いというのは、相性は勿論大事な要素ではあるが、時間というのもまた必要である。
 謎めいた存在である千歳のことを、短い時間の中で、尊敬するほどに良く知る事は出来なかったということだ。
 対して初音の方はといえば、雅楽乃は華道部の纏め役として何度も生徒会を訪れているので、必然的に初音との会話も多くなる。
 人の和を重視する初音と雅楽乃の相性は良く、生徒会長という重責に在りながらも気配りを忘れない初音のことを雅楽乃は尊敬していた。

「雪ちゃんは、どうなのです? 誰に投票するか決めましたか?」
「う〜ん……私、三年生のお姉さま方のこと、あんまり知らないしね」


 淡雪としては、それは全く正直な意見だった。誰を尊敬する、というほどに知っている相手が居ないのだ。

「まあ、普通に考えれば、やっぱり初音お姉さまかな。他に誰が居るわけでもなし」
「どうしても、というなら投票しない手もありますよ?」
「……それはそれで、なんか勿体無い気がしない?」
「まあ。ふふっ……」


 そんな話をしながら昇降口へと階段を降りていくと、突然の人込みが二人を迎え入れた。
 昇降口――下駄箱付近はおろか、外へと通じる扉の周囲まで――は、どこを見ても人が一杯である。

「うわ、何コレ」
「……何かあったのでしょうか」
「さあ?」


 淡雪は首を傾げた。普通ならば、何か事件が起こったと考えるだろう。しかし周りを良く見ると、人込みの中心となる人物が居ないことが分かる。

「……やあ、これは凄い人だかりですね」

 不意に、淡雪の後に立った人物が声を掛ける。二人がそちらに振り向くと、特徴的な褐色の肌とブルネットの髪。ケイリ・グランセリウスだ。
 ケイリは淡雪と雅楽乃に軽く会釈をしてから、改めて人込みに目を移す。

「ケイリさん、何か知ってるの?」
「ん? ああ、これはね、薫子お姉さまと千歳お姉さまがいらっしゃるのを待っているんですよ」
「へ?」
「ほら、明日はもう投票日ですから。この機を逃さずに投票宣言しようとする子たちが集まっているんです」


 ここ二・三日はずっとそうですよ、というケイリの説明に、淡雪は「うへぇ」という顔をした。淡雪と雅楽乃は、今週は華道部や諸々の用事で早く帰ることが無かった為、この状況を知らなかったのだ。

「しかし、これは凄い人ですね。生徒会にお話をして対策を採ってもらった方が良かったのではないでしょうか」
「いや、昨日はここまで人は多くなかったのですけどね。今日が最終日だし、自然に落ち着くのを待つことにしたのではないでしょうか?」
「いや、それでも迷惑でしょ、これ……」


 確かに迷惑ではあるだろう。恐るべきは乙女の恋心である……が。

「まあ、通れないというほどではありませんから。……でも、一人であの中を突っ切るのも遠慮したいところです。良かったら、一緒にどうですか?」

 ケイリは綺麗に微笑みながら、淡雪たちにそんな提案をしたのだった。



「流石、御前は凄いね。みんな素直に道を開けてくれたね」
「それは別に、私が凄いという訳では……誰が云っても道を開けてくれたと思います」


 雅楽乃が先頭に立って一言声を掛けると、生徒たちは綺麗に二つに割れてしまった。今は大人しく桜並木の両端に寄っている辺り、本人たちも邪魔になっていると思っていたのだろう。

「そういえば、ケイリさんとは同じクラスだけど、あんまり話す機会が無かったですね」
「あら、そうなのですか?」
「そうですね。私は校内の散策が趣味で、あまり教室に居ないものですから。じっとしていられない性分というか……子供なもので」


 苦笑して後頭部を掻くケイリを見て、その仕草に二人が笑う。
 ケイリの持つ雰囲気を見て、落ち着きが無いと評する人間は居ないだろう。子供だなどという評もまた然り。

「そうだ、淡雪」
「はい、なんですか?」
「私のことは、ケイリ、と呼び捨てで構いませんよ。外国人名に”さん”付けだと、しっくりこないでしょう?」
「え、そうかな……まあ、そう云うのなら、そうさせてもらおうかな。クラスメイトなのだし、少し肩の力を抜いて」
「ええ、そうして下さい。雅楽乃は……まあ、ご自由に」
「あら、ケイリさん、その云い方は酷いですわ」


 淡雪が頷くのを見て、ケイリはその隣に居る雅楽乃に視線を向ける……が、苦笑と共に、一言で済ませてしまった。雅楽乃も会話に乗るように、わざとらしく頬を膨らませる。雅楽乃のその表情を見て、淡雪は酷く衝撃を受けた。

「あ、あれ? うたちゃ……御前とケイリって、知り合い?」
「ええ。先程も云ったように、私は散策が趣味なので。園芸部に顔を出した時に、ちょっとね」
「そ、そうなんだ……あ、あ〜、ケイリ」


 淡雪は、園芸部で活動している時の雅楽乃の様子を殆ど知らない。その、自分の知らない雅楽乃の顔をケイリが知っているというのは、妙に胸がモヤモヤとするものだった。
 思わず二人の間に割り込むようにして会話を振ったのは、小さな嫉妬心の発露だろう。

「なんですか?」
「私のことも、好きなように呼んでくれて構わないですから。淡雪って、呼びにくいでしょう?」
「そうですか? 私は、素敵な響きだと思いますよ。淡雪……ほら、貴女に良く似合っている」
「え、やだな……そう云われちゃうと、なんか照れちゃうじゃない……」


 真面目な顔を少し綻ばせてそんなことを云うケイリに、今度は淡雪が顔を赤くする。

「ケイリさん、雪ちゃんを口説いては駄目ですよ?」
「いえ、そういう心算では無かったんですがね。……では、私も雅楽乃に倣って、ユキと呼ばせてもらいましょう。それで良いですか?」
「え、ええ。構いませんよ」


 淡雪は、心のメモ帳にケイリ=人誑しと書き込みながら、手で顔を仰いで顔を冷やす。あの笑顔は反則だ、と隣の雅楽乃にそっと呟いた。

「ところで雅楽乃とユキは、これから真っ直ぐ帰りですか?」

 丁度、桜並木の横道――園芸部へと繋がるランニングコース――に来た所で、ケイリは足を止めた。予定を尋ねるというよりは、知っていることを確認しているような声だ。

「私は、園芸部に顔を出す心算です」
「私は真っ直ぐ帰る予定」


 二人の言葉を聞いたケイリは、何度か頷いた後、雅楽乃を促すようにして身体の向きを変えた。

「……そうですか。では、私も今日は園芸部に寄ってみようかな。良いですか、雅楽乃?」
「ええ、それは勿論。では、行きましょうか」
「え? え?」
「では、ごきげんよう、雪ちゃん。また明日」
「ユキ、また明日ね」


 戸惑っている淡雪を余所に、ケイリと雅楽乃は足を進める。ややあって、後から淡雪の声が響いた。

「ちょ、ちょっと待ってよ。それじゃまるで、私だけ仲間はずれみたいじゃん! 私も行くって!」

 パタパタと駆ける音を聞きながら、雅楽乃がケイリにそっと呟く。

「ふふっ……ケイリさん、あれは少し意地悪だったのではないですか?」
「良いではないですか。ユキにも、普段は目にしない色々な物を見て貰おうということで」






「さて、今日はこのくらいにしておきましょうかね」

 太陽が傾いて空を茜色に染める少し前。園芸部部長の姿子が声を上げて、活動の終了を宣言する。

「あれ、部長。今日は少し早いんじゃないですか?」
「そうね。でもほら、明日はエルダー選の投票日でしょう? 疲労で熱でも出したりすれば、年に一度のお祭りが台無しになっちゃうからね」


 部員の問い掛けに対して、姿子は含み笑いをしながら説明をする。
 確かにエルダー選当日を休んでしまったとしたら、聖應の生徒としては悔やんでも悔やみきれまい。

「……そういえば、今日も結構気温が上がりましたからね。部長、そろそろ部長のアレが飲みたいです〜」
「はいはい、週明けから準備してくるから、それまで我慢してね。では、解散。お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」


 掛け声に合わせて頭を下げた部員たちは、二・三人のグループになって帰っていく。そんな部員たちの背中を見ながら、淡雪は軽く溜め息を吐いた。

「あら、雪ちゃん。疲れてしまいましたか?」
「え? あはは……正直に云えば、少し。良く考えたら、私っておもいっきりインドア派だもんね」


 溜め息を見とめた雅楽乃が声を掛けると、淡雪はバツが悪そうに舌を出した。華道と読書、確かにどちらもインドア派である。

「おや、ユキはもっと体力があるでしょう? 体育ではとても元気ではないですか」
「あ〜、いや……その、腰が、ね? 分かるでしょ?」
「ふふっ……慣れていないと、中腰の体勢は疲れますからね」


 年寄りのように戯けて腰を叩く真似をする淡雪に、雅楽乃がその理由を話す。園芸というのは、これでなかなか体力勝負なのだ。

「お疲れ様でした、淡雪さん。これに懲りずにまた来てね、いつでも歓迎するから。……雅楽乃さん、必要な物はこれだけかしら?」
「姿子さん。……ええ、それでは、頂いていきますね」


 姿子は淡雪に挨拶してから、手に持っていた花束――温室で間引いたグラジオラス――を差し出す。手伝いのお駄賃として貰う、華道部用の素材だ。
 軽く会釈をして去っていく姿子を見送った後、残っていた淡雪たちも動き出す。

「さて、私はこれを華道部に納めてきますね。お二人は先に帰っていて構いませんよ」
「え? でも……」
「雪ちゃん、疲れちゃったのでしょう?」
「うっ……」
「では、私はユキの面倒を見ることにしましょうか。では雅楽乃、また明日」
「はい。ごきげんよう、ケイリさん、雪ちゃん」
「あっ……と、ごきげんよう。また明日ね」


 桜並木に行き当たると、雅楽乃はそのまま校舎の方へと戻っていく。
 その背を見送っていた淡雪は、昇降口の周囲に生徒が残っているのを見て眉を顰めた。

「あの子たち、未だ居るんだ……」
「そうみたいですね。今日は薫子たちが出てくるのが遅いのかな?」
「……ケイリは、薫子お姉さまたちと親しいの?」


 園芸作業中の会話が功を奏したのか、すっかり砕けた話し方になった淡雪がケイリに尋ねた。もっとも、淡雪が実際に尋ねたいのは、薫子のことではなく千歳のことなのだが。
 正直な話、何故に千歳がそれほど人気があるのか、淡雪には分からない。
 確かに能力はあるし、容姿も整っている。だが、どういうわけかいつもニコニコと笑っている。性格が明るいというよりは、愛想を振りまいて自分の居場所を確保している、と淡雪には思えてしまうのだ。

「そうですね。何度か寮にもお邪魔していますし、つい先日も、部屋に泊まらせて貰いました」
「え、そんなに仲が良いの!? それは驚き……」
「ふふっ……薫子や千歳、それに初音。エルダーの候補者だとしても、人間であり、同世代の女の子であるのですから。そんなに硬く考えることはないのですよ」


 ケイリは淡雪を諭すように、立てた人差し指を振りながら話をする。見た目が日本人ではない所為か、とても様になる姿だ。

「そうは云ってもねえ……やっぱり、第一印象は簡単に覆せないって云うか」
「まあ、それは確かに。やはり、人となりを知る為には、深く付き合ってみないとね……おや?」


 淡雪の漏らした愚痴に肩を竦めたケイリが、何事かを見止めて声を上げた。淡雪が釣られて視線を上げると、集まっている生徒たちがさざめいている。

「どうやら、彼女たちのお目当てが出てくるようですよ」
「は〜……ありえないとは思うけど、私はエルダーの候補者にはなりたくないわ」
「さあ、どうでしょう? 何しろ他薦であるからして、淡雪だって可能性が無いわけじゃ――」
「きゃ〜!!」


 ケイリの言葉を途中で遮るように、大きな歓声が上がった。
 思わず肩を竦ませた二人は、仕方がないと云うようにお互いの姿を見ながら苦笑する。

「こういうとき、お嬢様だとかなんだとかは関係なくなるわよね」
「ええ、確かに」


 やがて、人垣が割れてエルダー候補の二人が姿を見せる。……が、その姿を見て、二人は思わず呆気に取られてしまった。

 薫子を先導にして、千歳が優雨を抱き上げて歩いてくる。

「なにあれ……」

 口を半開きにしてその光景を見ていた淡雪は、早足でこちらに向かってくる薫子を見て、慌てて道を開けた。
 千歳が近付くに従って、呆気に取られていた淡雪の顔が、驚きに変わっていく。
 いつも浮かべている笑みは無く、力強い瞳は正面を見て。まるで別人のような表情で、目を瞠っている淡雪の脇を、銀の髪を靡かせながら歩み去る。
 良く見れば、抱いている優雨を揺すらないように気を遣っていることが分かった。背が真っ直ぐに伸びていることもそうだが、上体が殆ど揺れていない。足腰のクッションで衝撃を殺しているのだ。

 通り過ぎた薫子と千歳が、学院の外壁沿いにある寮の中へと姿を消す。
 なんとなく息を止めてそれを見ていた淡雪は、気が付いたように息を吐いて。

「千歳お姉さま、カッコイイな……」

 と、一言漏らした。
 何が如何、というわけではない。ただ、自分と同じく日本人には見えない千歳が、ああも胸を張って歩いているのが、なんとなく誇らしくなった。
 自己主張の激しさ、とでも云うのだろうか? 普通ならば嫌味に感じられることもあるだろう、その存在感が羨ましく見えた。
 それは、自分のルーツと云うものに自信を持てない淡雪から見ると、とても鮮烈に映ったのだ。
 胸の動悸が治まらなくて、淡雪は思わず胸を押さえる。あれ、これってもしかして一目惚れ? いや、初対面じゃないけれど、などと混乱した頭で考えた。

「……これは、驚いたね」
「え? な、何、ケイリ?」


 自分の呟きが聞かれたかと考えた淡雪は慌てて返事をするが、ケイリは淡雪の方を見ていない。どうやら、淡雪と同じく自然に口から漏れたようだ。

「……学院での千歳の評価は、お姫様と云うものだったけれど。中々どうして、りっぱなQueenのようですね」
「え? 女王?」
「そうですよ。騎士を先導にして立派な行進……ふふっ、あの二人は、本当に面白い」


 にこにこと、面白い物を見つけたと云いそうな表情でケイリが笑う。

「そう、正にQueen……We Will Rock You!(お前たちをアッといわせてやる!)、ですね」
「へ?」


 言葉の繋がりが分からない淡雪は首を傾げるが、ケイリは笑うだけで応えない。
 肩を竦めた淡雪はそんなケイリを横目で見ながら、明日投票する人物の名前を心に留めた。





「……ところで、淡雪も千歳の魅力に参ってしまいましたか?」
「ちょっ……聞こえてても、聞こえないフリをするのが友達ってものでしょ!?」


**********

 いろんな翻訳があるWe Will Rock Youですが、私はこの訳し方が一番好き。

 ちなみに学院の図書室は、ゲーム内では図書館と表記されていますけど、ファンブックでは図書室になっていたので、図書室で統一します。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
お久しぶりです。今回は即日にコメントすることが叶いましたね。第二章のEx話、サブキャラ編。
千早の影を垣間見ることとなった今話が、今後如何に展開を広げていくか、とても楽しみです。
では、失礼します。


Ps,たしか、今年中にはもう一度小説の更新があるのですよね??期待していますね。

2010/12/23 20:59
唯さん、いらっしゃいませ。
Exでは裏話が基本なんですけど、実は二年生コンビは、本編に絡んでくるのは夏休みぐらいから。つまり、第三話が終わってからなんですよね。
雅楽乃や淡雪が好きな人は、もう少し待ってて下さい。

一応、年内にもう一回上げます。頑張れば明日の夜……無理かな……28日夜を見込んでくださいませ(笑)
A-O-TAKE
2010/12/25 19:00
報告です

・そんなに以外でしたか?→そんなに意外でしたか?
・褐色の肌とブルネッドの髪→褐色の肌とブルネットの髪
・私は真直ぐ帰る予定→私は真っ直ぐ帰る予定
・揺すらないように気を使っている→揺すらないように気を遣っている
・背が真直ぐに伸びている→背が真っ直ぐに伸びている


私事ですが、漸くPSP版を買いました
Leon
2011/11/10 13:02
修正終了です。
>Leonさん

PSP版は、何と言っても手軽さが良いですよね。SS書いてる時に、ふと気になった場面を確認したりとか。
まあ、セーブデータが凄い量になってしまいますが。
A-O-TAKE
2011/11/14 16:55
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