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zoom RSS 妃宮さんの中の人 6-エピローグ

<<   作成日時 : 2012/01/19 22:26   >>

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 正直な話……どうしてこうなった。





**********


 あたしたちは沙世子さんを抱き上げると、彼女が目を覚まさないうちに、椅子に座らせて机に上体を預けさせる。ちょっと疲れて居眠りしちゃった風を装う為だ。

「う、ううん……」
「あっ、気が付いたみたいだね」
「……七々原さん? えっと……」


 やがて、腕を枕にする感じで机にうつ伏せていた沙世子さんが、頭を振りながら身を起こした。あたしは沙世子さんが自分の状況が分かっていない内に、言葉を重ねて畳み掛ける。

「沙世子さん、あたしと話している最中に眠っちゃったんだよ。ほら、今日は早く起きたみたいだし、色々と仕事も有って疲れが溜まってたんでしょ」
「そうそう! 沙世子ちゃん、無理しちゃ駄目だよ」
「沙世子お姉さまが居なければ、初音お姉さまを助けられないのですから、少し休んでおくべきかと思います」


 千歳と史ちゃんも追撃に加わり、納得がいかない顔をして首を傾げる沙世子さん。

「……そうだったかしら? そうね、少し疲れてるのかも……なんて云うわけ無いでしょ!」
「わっ!?」


 ああっ、誤魔化すのはやっぱり無理だった!?
 ノリツッコミをした沙世子さんは椅子から立ち上がると、隣に居た千歳の胸をワシッと掴んで引っ張った。
 だがしかし、甘いぞ沙世子さん。既に千早じゃなくて千歳に変わっているのだ!

「あ、あれ?」
「ふええっ、痛いよ沙世子ちゃん」
「……はっ!?」


 胸の手触りを確認していた沙世子さんは、千歳の声に我に返ると、慌てたように二・三歩下がる。
 沙世子さんの性格からして、一度冷静になっちゃえば直接見て確かめるようなことは出来まい! ふふふ、これで何とかなる!

「え、あ、え? だって確かに――きゃっ!?」

 戸惑ってヨロヨロとした沙世子さんが、背中を机にぶつけた。
 机がガタンと大きく跳ねて、上に載っていた史ちゃんの鞄が床に落ちる。
 口を逆さにするように机から落ちた鞄は、床に落ちてゴロリと転がった。マグネット式のボタンで閉じてあった蓋が外れ、中身が零れる。
 その場に居る四人の視線が、蓋の開いた鞄から転がり出たものに向けられた。

「……」
「……は、はわわ……」
「……(度會史、一生の不覚……)」
「……(空気を読んでよ偽乳さぁぁぁん!!)」


 床の上でぷるんと揺れた偽乳を見た沙世子さんの首が、ゆっくりと、ゆっくりとあたしたちの方へ向けられる。

「さ、沙世子、さん……あのですね……」
「……ふ、ふふふ……」
「ヒッ!?」


 怖っ! 俯き加減になった沙世子さんの髪の間から見える眼鏡が、謎の光源に反射してキラッと光る。

「もう直ぐ総会が始まるっていう忙しい時間に悪戯とは、良い度胸をしているわねぇ……」
「い、いや、これは別に悪戯とかじゃ――」
「問答無用!!」
「ひゃい!」


 沙世子さんの声に、思わず背筋を伸ばすあたしたち。
 据わった目であたしたちを順番に見た沙世子さんは、口元を引き攣らせながら、床に転がっている偽乳を手に持った。

……今は時間が無いから、追求はしないでおいてあげるけれど――」

 そして、ぐにっと手の中のそれを思い切り握り締めた後、机に叩き付ける。

「――後で、確りと理由を説明してもらいますからね?」
「は、はい……」


 震えながら返事をするあたしを見た沙世子さんは、思い切り鼻を鳴らしてから更衣室を出て行った。



「どうしようか」

 沙世子さんが出て行った後。
 あたしたちは、千歳と千早を入れ替える為の準備をやり直しながら、沙世子さんへの対応を考える。

「……ここは、全てを沙世子お姉さまに話すしかないのではないでしょうか?」
「ええっ? でも、史。そんなことをしたら……」
「千早さまの心配も尤もですが、先程の件が悪戯だと思われたままの場合、今後の学院生活に多大な影響があるかと思われます」

『そ、そうだね……ちょっとやそっとじゃ許してもらえないと思うよ』
「それどころか、ずっと許してくれないかもしれないよ?」

 あたしの言葉に、千早が渋い顔をする。
 でも、ありえない話じゃないよね。沙世子さんは、性質の悪い悪戯なんか絶対に許さないタイプだもん。

「正直に全部を話して泣き落としをするのが良いかと思います。沙世子お姉さまも、別に冷血と云う訳ではないと思いますので」
「……仕方が有りませんね」

『私も沙世子ちゃんにお話すれば、きっと分かってもらえるよ!』

 う〜ん、そうだと良いんだけどねえ。
 と、云うかだね。現実主義的なところのある沙世子さんが、幽霊の存在を信じてくれるかな?
 最悪の場合、その場で証拠を見せなくちゃいけなくなるかな……。

「まあ、取り合えずは生徒総会を終わらせてからだね。史ちゃん、準備は間に合いそう?」
「はい。……ただ、さすがに赤く腫れてしまった肌に接着剤を付けるのは無理ですから、パッド入りのブラジャーで誤魔化す心算ですが」
「……まあ、それは仕方が無いね。千早、あんまり激しく動いちゃ駄目だよ?」
「ええ、気を付けます」





 そうして、様々な不安を残しながらも、生徒総会は無事に終わった。
 え? 総会の内容? 特に云う様なことは無いかなあ。だって、事前の準備通りに話を進めるだけなんだもの。
 あえて云うなら……沙世子さんの「怒りの演技」がとっても真に迫るものだった、ってことくらいかな?
 ……うん、ゴメン。沙世子さんが怖くって、話の内容とか覚えてません……。





 そして、数時間後の寮の食堂。

「それでは……お疲れ様でしたぁ!」
「かんぱーい!」


 初音の挨拶で、その場の全員がコップを掲げた。
 生徒会恒例(?)のお疲れ会。いつもは生徒会のメンバーだけで行われるんだけど、今回は寮の住人にも色々と迷惑を掛けたと云うことで、食堂にみんなを集めての開催となったのだ。
 ちなみに夕食が近いので、寮の冷蔵庫に入ってたジュースと、史ちゃんが用意していた簡単なおやつぐらいなんだけどね。
 そうそう、生徒総会の結果を纏めた書類は、既に梶浦先生に提出済みだ。
 書類を受け取った先生は、後は私たちが頑張るからと笑顔で請け負ってくれた。なんでも、「我に秘策有り」なんだそうな。

「どうしたの、薫子ちゃん。難しい顔をしてるよ?」
「いや、梶浦先生の云う秘策って何なのかな〜って」
「さあ? でも、あれだけ自信たっぷりに云ってくれたんですから、何とかなると思いますよ?」


 あたしの不安を払うように、初音が優しく微笑む。
 まだまだ油断できる状況じゃないと思うんだけど……でも、お疲れ会で不安な顔は見せられないか。

「……お姉さま」
「は〜い、何ですか優雨ちゃん?」


 初音が優雨ちゃんの方へ向かうのを見送りながら、あたしは改めて食堂に居るみんなを眺める。
 思えば、この春にお姉さまたちが卒業した時、この寮には3人しか居なかったんだよね。それが今では寮の住人が7人に、沙世子さんたち生徒会のメンバーが3人。そして、今は部屋の隅でみんなに見付からないようにこっそり隠れて雰囲気だけを味わっている幽霊状態の千歳――11人も居る!

「薫子、数え間違えているわよ?」
「あ……聞こえちゃった?」


 香織理さんが呆れた顔をして話し掛けてくる。危ない危ない、声に出ちゃってた。あたしは頭を掻きながら、誤魔化すように言葉を続ける。

「いや、この寮も賑やかになったなあって思ってね」
「そうね。今は未だ生徒会の人たちくらいだけれど、陽向や優雨ちゃんの為にも、もっと人を呼べるようにしたいわね」
「ああ……いつだか初音が云ってた話か。そうだね」


 でも、初音が卒業してからも優雨ちゃんが生徒会を手伝うのなら、それほど寂しいことにはならないんじゃないかな?
 耶也子ちゃんをからかっているさくらちゃんを見ると、それほど心配は要らないようにも思う。さくらちゃんなら優雨ちゃんを独りぼっちにしたりはしないだろう。
 陽向ちゃんは社交性が有るから、遊びに呼ぶ友だちには苦労しないだろうしね。
 まあ、一番良いのは寮の住人が増えることなんだけどさ。

「ところで、話は変わるけど」
「ん?」
「貴女、沙世子さんに何をしたの? 貴女を見る彼女の目……なんて云うか、獲物を狙う肉食獣の目よ?」
「ちょっと、怖いこと云わないでよ」


 恐る恐る沙世子さんの方を見る。あたしの視線に気が付いたのか、にっこりと良い笑顔で笑う沙世子さん。……目が、目が笑ってない……。
 仕方が無い。もうちょっと時間を置いてから話をする心算だったけど、今の内に話をするとしますか。

「沙世子さん、ちょっとさっきの件で話が有るんだけど、良いかな?」
「……ええ」
「あれ? 薫子ちゃん、何か有るの?」
「あ〜、えっと……乙女の秘密?」
「えっ?」


 初音が不思議そうな顔をした。口には出さないけれど、香織理さんや陽向ちゃんたちも首を傾げる。
 だけど内容が内容だから、みんなに説明するわけにもいかない。寮の食事まであんまり時間も無いことだし、千早と史ちゃんも一緒になって、直ぐに千歳の部屋へと案内した。

「話が有るって云うことだったけど、勿論、例の件なのよね?」
「うん。……それで、一つお願いが有るんだけれど」
「何かしら」
「ええと、だね。取り合えず、どんなに荒唐無稽な話だと思っても、途中で文句を云わないで欲しいんだ」
「……? まあ、良いけど」


 沙世子さんは、たかが悪戯の云い訳に何を云っているのかと思ったのかもしれない。だけど、首を傾げながらも頷いてくれた。
 さて、それじゃ千早と史ちゃんに話をしてもらおうか。ここから先は、あたしが簡単に口を挟めるようなことじゃないしね。

『ちーちゃん、ファイト!』
「……んんっ。では、沙世子さん――」

 千歳の声援を受けて、千早が意を決して口を開く。ここが正念場、あたしも心の中で応援をした。





「……取り合えず、最初に約束したから黙って聞いていたけれど」

 蟀谷を押さえながら首を振る沙世子さん。

「はっきり云うけど……馬鹿じゃないの?」
「うっ……」
「大体、貴女、その格好で自分が男だなんて云って、誰が信用すると思うのよ? 証拠でもあれば別だけど」


 真正面から一刀両断された千早が、もの凄くショックを受けた顔をした。
 沙世子さんの云いたいことは分かる。あたしだって、実際に千歳を目にしていなければ、到底信じられないような話なんだし。
 でもまあ、ここで終わっちゃ話にならない。沙世子さんだって、実際に自分の目で見たものまでは否定しないだろうと思うし。

「千早、証拠を見せてあげなよ」
「証拠って云っても……」
「千早さま」


 顔を顰める千早の耳元に、史ちゃんが何事かを囁く。ピクリと眉を動かした千早が、大きな溜め息を吐いた。

「仕方が無い、ですね」

 千早は両手を後ろに回す。ジ……ッと聞こえたのはジッパーを下ろした音かな? そのまま手を前に回し、ブラウスを脱いで見せる。
 パッド入りのブラを外した後に出てくるのは、見間違えようも無い男の胸板だ。

「……きゃっ!? ちょ、ちょっと――ええっ!?」

 千早の突然の行動に驚いた沙世子さんが、両手で顔を隠しながら声を上げて……そのまま、露になった千早の胸を見て、動きを止めた。

「ご覧の通り、です。納得して頂けましたか?」
「……」


 う〜ん、驚いて声も出ないって感じだね。両手で顔を隠しながら、でも確りと千早の胸を見てる。
 あ〜、沙世子さんの顔が真っ赤だ。男の裸とか免疫無さそうだもんね。ともあれ、このままガン見させてても仕方が無い。

「お〜い、沙世子さ〜ん」
「……はっ? あ、ええ……ええと。ちょ、ちょっと待って……取り合えず服を着て」


 我に返った沙世子さんが、手を振りながら千早に指示する。そのまま、ぶつぶつ呟きながら首を振ったり頭を掻いたりしてるところを見るに、常識と喧嘩しているようだ。

「あ、そう、そうよ。確か、貴方は水泳の授業に出ていたわよね? 水着とか、その……ご、誤魔化せるものなの?」

 ……どこを見ながら云ってるのさ、沙世子さん。て云うか、さっきちゃんと説明したじゃない。
 ブラを付けないでブラウスを着直した千早が、千歳のことを手招きする。実際に目の前で入れ替わった方が分かりやすいからだろう。

「沙世子さん、少し、お手を拝借します」
「え? 何?」
「目を、閉じないでいて下さいね」


 戸惑っている沙世子さんの手を取った千早が、軽く深呼吸した。

『それじゃ、いっくよ〜! えいっ!』

 千早の背後に回った千歳が、気合と共に千早に入り――カメラのフラッシュのように、一瞬だけ身体が光った。

「きゃっ!」
「……ふ〜。んっ、んっ。うん、大丈夫だね。……沙世子ちゃん、どう?」
「ど、どうって……あっ?」


 至近距離で目が眩んだのか、軽く頭を振っていた沙世子さんが、千歳の声に眉を寄せる。そして直ぐに、千歳の胸――ブラウスを押し上げている――に気が付いた。

「嘘でしょ?」
「触って確かめても良いよ〜、沙世子ちゃん」


 沙世子さんの手が恐る恐る伸ばされる。ちょん、ちょんと何回か千歳の胸を突いてから、掌全体でむにゅっと押した。

「……悪い夢だわ」

 開いた口が塞がらない、とは正しくこのことだろうね。あたし、沙世子さんがここまで気の抜けた顔をするところ、初めて見たよ。

「……と、云うわけで、だ。大体のところは分かったかな、沙世子さん」
「……ああ、ええ……」
「ちょっと、大丈夫?」
「……ええと、何て云ったらいいか……」


 沙世子さんは眼鏡を外すと、頭を抱えるようにしてウンウンと唸り出した。
 う〜む、大丈夫だろうか。こんなことを云ったら何だけど、真面目に考えるとツボに嵌ると思うんだ。沙世子さんの性格からして。

「ま、まあ、色々と考えたいだろうけどさ。もう時間が時間だし、家に帰ってゆっくり考えれば良いんじゃないかな?」
「……そうね。そうさせてもらうわ」


 ふらふら〜っと椅子から立ち上がった沙世子さんは、史ちゃんが開けてくれた扉を通って廊下へと出た。
 ホントに大丈夫かな。階段から落ちたりしないよね? と思ってたら、史ちゃんがさり気無く沙世子さんの脇に付いて軽く手を引いた。流石、出来る侍女は違う。

「沙世子お姉さま、一つお願いが有るのですが」
「……何?」
「千早さまも千歳さまも、決して悪気が有ってこのようなことをしている訳ではないのです。色々と納得がいかないこともお有りかと思いますが、どうか、このことは御内密にお願い致します」


 史ちゃんの真剣な顔に気を取られたのか、沙世子さんの足が止まる。
 やや有って、二人の後ろを歩いていたあたしと千歳の顔をチラッと見てから、史ちゃんに向かって軽く頷いた。

「ええ。……取り合えず、誰にも云わないでおくわ。……尤も、こんなことを云ったって、普通は信じてもらえないと思うけれど」

 あはは……まあ、そりゃあそうだろうね。優雨ちゃんみたいな素直な子も居るけれど、そういう人は本当に稀だろうし。
 事実は小説より奇なり。ついでに云うと、漫画よりも滑稽なりってね。





 それから数日後。
 今回の事件の結果が色々と出揃ってきたので、あたしの知る範囲のことを軽く説明しよう。

 先ず、初音の処分に付いては撤回された。
 生徒に人望の有る初音を処分することは、却って学院に混乱をもたらすことになってしまう。だから、今回の件に関しては厳重注意&始末書を提出と云うことになった。

 次に、生徒会則の見直し――風紀委員会の分離も含めて――だけど、これは結局廃案になった。今回みたいな揉め事にならなければ、現在のままの生徒会則でも十分だから、と云うことらしい。
 ただ、風紀委員に関してはちょっと規則が緩くなった。生徒会が常に人手不足なのは承知しているので、生徒会が選出した生徒を風紀委員長として、その人に全権を委任しても良いことになったのだ。つまり、外部組織とすることを認めたってこと。
 まあ、もしそれで問題が起こったら、任命責任がどうだとかって話になるんだろうけれど……それは次代以降の生徒会にお任せすると云うことで。

 最後に、初音の問題に端を発した学生寮の寮監の件。これは、新しい寮監を外部から招くことになった。ただ、既に二学期も半ばを過ぎる頃なので、今年度に関しては教職員の中から適当な人を選ぶことになったらしい。来年度以降はまたその時に決めるんだって。

 ……ああ、それとオマケが一つだけ。
 なんと、図書委員会が提出した文庫本の取り扱い――所謂「ライトノベル」系の小型本の入荷――が認められたんだよね。
 初音の事が書かれた陽向ちゃんの文章がそもそもの発端な訳だけど、その文章が載った文芸部の部誌は、部長の見城沙也香さんが「本が入荷されないなら自分で作ろう」ってことで作られたもの。
 生徒たちが自分で過激な文章を書いて盛り上がったりするくらいなら、学院側がチェックをしたあまり過激じゃない文庫本を入荷した方が生徒たちへの影響が少ないだろう、と云うことになったみたい。
 このことが分かった時、沙也香さんは双子の姉の幸子さん――図書委員長だ――と抱き合って喜んだそうな。





「え〜……それでは、歓迎会を始めたいと思います」

 そして、そんな諸々のことが決まったある日の、寮の食堂。
 初音の声に合わせるように、あたしたち寮の住人は、新しくやってきた人たちの姿を見る。

「それでは新しく寮監となりました梶浦先生、お願いします」
「はい。――オホン、只今紹介に預かりました、梶浦緋紗子です。……とは云っても、皆さんに対して改めて自己紹介する必要は有りませんよね? これから宜しくお願いします」


 にこやかに笑いながら、学院で教鞭を振るっているときとは違う調子で挨拶をする梶浦先生。
 ……どうしてこうなった。

「え〜と……先生、それだけで良いんですか?」
「はい。まだ、もう一人控えていますしね」
「あ〜、え〜っと……それじゃ、続けて、新しい寮生を紹介します」


 どこと無く困った顔をした初音が、梶浦先生からもう一人へと視線を移す。それに合わせて、その人が一歩前へと進み出た。

「……烏橘沙世子です。受験勉強に集中する為に、入寮することを決めました。残り半年ではありますが、宜しくお願いします」

 ……ホント、どうしてこうなった!? 





――――――――――





「ちょっと、何考えてるのよ沙世子さん」
「……事情は承知したけれど、女子寮に男の人が暮らしているのが気にならないわけ無いでしょう? 初……ゴホンゴホン、みんなに変なことをしないかどうか、私が確り監視するんだから」
「寮監として梶浦先生が入ってきたじゃない」
「理事長としての仕事が有るのよ? 四六時中寮に居られるわけじゃないでしょう」
「……」
「……」
「……沙世子さんこそ、変なことをしないでよね」
「……するわけないでしょ」






**********

 と言うわけで、まさかの沙世子さん入寮です。
 うん、本当は寮に入れる心算はなかったんだ。でも、こっちの方が面白そうだったんだ。

 後で話の展開が難しくなって、結果的に自分の首を締めることになるのにねえ。ハッハッハッ。


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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんはです。
いろんな意味で、斜め上に吹っ飛んで行きましたね〜(笑)
最初、朝4時半ぐらいに見たんですが、興奮しちゃって、もう1度寝るのを諦
めました。ええ。

1.盛り上げておいて生徒総会スルー
 やりますね〜。まあ、成り行きは決まってるし…なんか別の爆弾爆発してる
 ので当然かもしれませんが。

2.沙世子バレ
 まあ、前回の山である程度判っていた事ですが…。ほんとにバレちゃったん
 ですねぇ…。
 でも、知ってるのが薫子と沙世子だけ(優雨はどうでしたっけ?)で、「あ
 の」香織理も気づいてないっていうのが驚きですよね。
 人間関係の達人&超鋭敏センサー軍団なのに。

3.梶浦先生入寮?
 ええと、住み込みなんです…よね?緋紗子先生。まあ、もともと黒幕な人だ
 し、前フリはあったので、驚きは少ないですが…やっぱり、面白いですね。
 どうなるのか、楽しみです。
 …香織理と仲良くなりそう…(笑)

4.沙世子入寮
 斜め45度で大気圏外まで飛んで行っちゃいましたね〜。
 もはや、完全に予測不能です(笑)
 これは楽しそうですが…自縄自縛で更新がさらに遅れそうです。
 こうなったら、どこまで行くか、楽しみです。
えるうっど
2012/01/20 23:10
えるうっどさん、こんばんは。

>1
ええ、前にも書きましたけど、もの凄く蛇足的な文章になりそうだったので全面カットです。おかげでまたもやタイトル詐欺。そろそろ各話のタイトルを見直しますかね。
>2
沙世子に対する幽霊バレは初期プロットからそのままです。真面目な人が振り回されるのが楽しいのでww
ちなみに香織理は、千早と以前に会っていることで「もしかして入れ替わってる」とは思ってますが、薫子が一生懸命隠そうとしてるので見て見ぬ振りです。千歳が幽霊と云うのは気が付いてません。
>3
住み込みです。まあこの人の場合、今までの私生活なんて全然分かりませんから、大人の代表として寮に入れるには良いかなと。理事長代理までやってる今の状況だと、かなりの収入はあるはずですけど……。
>4
当初の予定では、ヒロインたちを全員入寮させる心算でした。ただ、雅楽乃が寮に入るのって無理だよね? ってことで没になりました。そして、沙世子ルートが解放されましたww

>自縄自縛で更新がさらに遅れそうです。
頑張ります!
A-O-TAKE
2012/01/21 18:41
沙世子さんにバレて、生徒会主催の演劇はどうなるのでしょうか?
薫子みたいに、すっかり忘れていたとか・・・
みっちゃん
2012/01/26 00:30
みっちゃんさん、こんばんは。

生徒会主催の演劇は、ゲームとは違った話を演目とする予定です。
まあ、千早ではなくて千歳が主演をするのであれば、沙世子も我慢できるでしょう……多分。

A-O-TAKE
2012/01/27 23:26
報告です


・だがしかし、甘いそ沙世子さん→だがしかし、甘いぞ沙世子さん
・ピクリと眉を動かした千早が、大きな溜息を吐いた→ピクリと眉を動かした千早が、大きな溜め息を吐いた(一応こちらで統一してたと思うので…)
・四六時中寮に入れるわけじゃないでしょう→四六時中寮に居れるわけじゃないでしょう


梶浦先生にまた一つ役職が増えましたね。まぁ寮監とは云ってもただ寮に住む事になっただけですから負担はほぼゼロなのでしょうけれど。
黒幕の一人との物理的な距離が近くなったのでさらなる悪巧みが…なんて思ったりもしてます。香織理と組めば寮を完全に牛耳れますね。

沙世子の入寮にも驚きましたが全員入寮させるつもりだったとは…。
雅楽乃はもちろんですが、雪ちゃんとケイリも厳しそうですよね。ケイリなんて王女ですからね〜。とは云ってもどんな生活を送ってるかは謎ですが。でも雪ちゃんは千歳ラブだから何とか親を説得してみせるかもしれないな。


更新だけでなく皆さんのコメントも楽しみにしてるから割とこまめに確認してたりします。
なので更新から5分以内にたまたま…なんてこともあります。
最初から読み返してない限りは次からはコメントも早いかもですー。
Leon
2012/02/10 21:58
Leonさん、おはようございます。

>梶浦先生
負担ゼロどころか、朝食は出てくるし、夕食だって間に合えば食べられるし、学院の中だから仕事を持ち帰っても大丈夫(?)だし……良いところしかないような。
寮監の仕事って、寮生が良い子ならば細かい雑用しかないですし。しかもその雑用は、昼間に勤務している寮母さんが遣ってますから。

>全員入寮
ケイリだけならば、学院&寮のセキュリティアップをすれば大丈夫かもしれないですが、変な護衛とかも付いてきそうです。守護の楯的な人とかw

では、またお越し下さい。
A-O-TAKE
2012/02/11 07:07
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