A-O-TAKEの隠し部屋

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zoom RSS 父が死んだ。

<<   作成日時 : 2015/04/26 14:20  

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 今の気持ちを残しておきたいので、あえて此処に書こうと思う。ただの愚痴なので、二次創作を読みに来た人は飛ばしてほしい。



 父が死んだ。
 30年も前に母と離婚して、ずっと連絡もしてこなかった父だった。
 いまどき、こんな話は珍しくないだろう。

 父は浮気相手と再婚していた。相手の人も子持ちのバツイチで、そんなところが気に入ったのかもしれない。だからと言って、母と子供三人を捨てて良いというものではないと思うが。

 肺癌だった。最後に会いに来るつもりだったらしいが、肺に膿が溜まり病院から出られなかったらしい。容体が急変して、あっさりと逝ってしまったそうだ。
 電報で知らせてきたが、仕事もあり、お互いの家の距離もあり……何より、何を今更という気分があって、その時は返事もしなかった。

 もう、顔も覚えていない人だ。



 父は趣味人だった。仕事人間でもあった。朝早くから夜遅くまで働き、帰ってきてからは趣味の為に出かけていく。
 一緒に遊んだ思い出はひどく少ないのに、無理やり連れだされて遊んだことは覚えている。
 北海道一周を、ワゴン車で一週間かけて行った。ホテルにも泊まらない貧乏旅行だ。無人駅の駅前で寝袋に入って寝たりした。
 訳も分からないのにどこかの学校の体育館に連れていかれ、フェンシングをするのを見学させられた。
 ライフジャケットを無理やり着せられて、ヨットで海に出たりもした。乗っていた子供用ヨットがひっくり返って海に投げ出された。
 車が好きで、写真が好きで、体を動かすのが好きで……そして当然、女性が好きで。


 
 遺産相続の件で、再婚相手の人と会った。再婚相手の人とは、家族で付き合っていた頃に見知っている。しかし、30年も経っているのに私の面影を覚えているのが意外だった。

 年を取ってからは、合わせる顔がないと思っていたらしい。
 恨んでいるだろうと。憎んでいるだろうと。もし会った時に私や家族から非難されたら、生きて帰れないと考えてしまうくらい、怖かったらしい。
 遺産が億とかウン千万とかであれば、私たちの残りの生活を支えられるくらいであれば、会えたかもしれないと言っていたそうだ。
 実際に残ったのは、法的な分配でウン百万だった。遺産相続で嫌な争いになるのが心配だと言っていたとも聞いた。
 こっちはスッパリと忘れていたというのに、随分と生真面目なことだ。


 晩年の写真を見た。
 家の写真は母が全て処分していたので、久しぶりに見た顔だった。年を取って、だいぶん太っていた。ああそうだ、昔は頬がこけた痩せぎすの男だった。随分と変わっていた。
 葬儀の時の写真を見た。
 癌の治療で痩せていた。死ぬと体から水分が抜けて、さらに痩せていた。思い出した父の顔と似ていた。



 再婚相手の家には墓を守る人がおらず、その人が最後の一人だったため、父は再婚相手の家に籍を入れて婿養子となっていた。
 自分たちは父の姓を名乗っているのに、肝心の父は別性となっていた。笑える話なのかもしれない。



 墓の場所は聞かなかった。他人の家の墓だ。



 骨格は似ていないけど、雰囲気は父に良く似ていると言われた。
 なるほど、自分は遊び人の気質があるらしい。



 なんにせよ……手続きが済めば、本当にお別れだ。
 割とあっさり忘れることだろう。
 次に父を思い出すのは、自分が死ぬ時かもしれない。




 

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